こんにちは!虫・両生類販売のてっぷり(teppri)です。
今回の内容は「カエル飼育の全般的なお話」です。
カエルはその跳ねる動きや独特な鳴き声、さらには色鮮やかな体色や模様が人々に観賞価値を感じさせ、近年は日本においても、カエルをペットとして飼う愛好者が増加傾向です。
海外のカエルはペットショップで販売されているのを目にしますし、日本のカエルは温暖な時期には田畑や森林、公園や庭の水辺などでしばしば目にすることができます。
カエル飼育は初心者にも手が出しやすい種類もあります。しかしそんなカエルの飼育には適切な設備や水槽、そして食料が必要です。また猛暑日や寒い季節には温度の管理も考慮する必要があります。カエルは多くの種類が存在し、それぞれの飼い方や注意点があります。
カエルの飼育は、童謡や童話に登場するような愛らしい生き物の世界を身近に感じさせてくれ、一度その魅力を知ると夢中になる人が多いようです。今回の記事はカエルの飼育に関する基礎知識や注意点、そして毒に関する噂など、多くの情報を掲載しています。これらの情報を参考にすでに飼育されている方やこれから飼育しようか迷っている方へヒントになればと思います。
カエルとは?一般的な知識について
分類:
カエルは両生類無尾目(むびもく)に属する生物の総称です。
分布としては南極大陸を除く全大陸にいます。同じ両生類でも尾を持つ有尾目には
サンショウウオやイモリなどがいますがカエルは両生類全体の約9割を占めています。
特徴:
最も顕著な特徴は、卵⇒オタマジャクシ⇒カエルと変態することです。
幼生時「オタマジャクシ」は四肢がなく、ひれのついた尾をもちます。
呼吸はエラ呼吸のため淡水中でないと生きることができません。
また一部の種類を除き、幼生時は草食であるがカエルになると肉食になります。
種類:
自然環境の変化や病気により絶滅や数が激減している種もあるが
今のところ世界には約7000種のカエルが知られていて、日本では48種生息が
確認されています。ほとんどのカエルが水辺で暮らしていますがわずかの種は
水辺以外で生息することができます。
生態:
水辺や湿地、林地、草原、さらには砂漠のような乾燥地帯にも生息しています。
食事は虫や小さな動物を食べることが多く、一部の大型種は小さな鳥や哺乳類を捕食すること
もあります。捕食方法も様々で舌の伸ばして食べるカエルもいれば、大きい口を近づけて丸呑
みするカエル、また前足で器用に捕まえて食べるカエルもいます。
呼吸は皮膚呼吸と肺呼吸で行っており、皮膚呼吸が占める割合は3~5割程度です。
また、体表が湿っていないと皮膚呼吸ができないので、乾燥を嫌います。
このため湿った環境を好み、皮膚を通じて呼吸することができます。
※一部の種は乾季でも生きることができます。
変温動物であり、温帯性のカエルで20-25℃、熱帯性のカエルで25-30℃が活動しやすい
と言われています。寿命は短いもので5年、長いもので20年と言われています。
暮らし方:
カエルは分布する環境に応じて、大きく分けて4つの暮らし方があります。
「樹上生(樹上棲)」
~樹上や草木の上を主な活動場所とする種で特徴は手足の吸盤が発達しています。
(イエアメガエル、モリアオガエル、ニホンアマガエルなど)
「陸生(地上棲や陸棲)」
~陸の上(土の上)を主な活動場所とする種で特徴は前足が太い種が多いことです。
(ツノガエル類、ヒキガエル類)
「半水生(水棲)」
~水場と陸や草木の上を行き交う種で特徴は跳躍力があることと
水掻きが発達していることです。(トノサマガエル、アカガエル)
「水生(完全水棲)」
~普段から水中で暮らす種で特徴は水掻きが発達していることです。
(ツメガエル、バジェットフロッグ)
カエルを飼育するために必要な道具は?
カエルの飼育を始める前に、飼育に必要な用品を確認しましょう。
上の項で確認した通り、カエルの種類によって暮らし方が違うため、そろえる道具も変わってきますがここではどの種でも必要な道具を記載します。
飼育ケージ
基本的には以下の4点がクリアできればどんな容器でも問題ありません。
大きさが十分である容器
飼育する種類によりますが成長しても十分動き回れる容器。
飛び跳ねる種類でも高さが十分にある容器が必要になります。特に飛び跳ねるカエルの場合、
飼育初期は興奮してゲージに鼻先をぶつけ傷つきます。人によってはフタに緩衝材をつけてい
る人もいます。
水を入れても漏れない容器
どんなカエルであれ水分は必須です。水を張ったり、水を入れる容器が傾いた場合など
漏れない容器である必要があります。
生体が逃げない容器
蓋が確実に締まる容器。逃げられる隙間がない容器。カエルは我々が思っている以上に
少しの隙間からでも逃げ出せます。頭が入る隙間があったら逃げ出します。
またゲージ内に入れた活きエサが逃げないことも重要です。
完全密閉にならない容器
気密性が高い容器は湿度が高く保てて、良い部分がありますが一方でカエルの糞尿やエサの
食べ残しが腐敗し、カビが生えやすくデメリットもあります。高い湿度が保てて且つ空気が
入れ替われる空気孔がある容器が望ましいです。
この4点を考慮すると大型のプラケースや爬虫類の飼育ゲージが該当します。水槽だと蓋と蓋の固定が必要になります。いずれにしても飼育するカエルの種類や数、大きさで選ぶゲージは変わってくると思います。この辺は今後の種類別飼育方法で詳しく説明できればと思います。
水(水入れ)
「水生」のカエルは容器に体が完全に浸かる量の水が必要です。
逆を言うとそれ以外は基本必要ないです。ただ熱帯魚のようにソイルや砂利やエアレーション、ろ過機などをつけてやれば水の腐敗が遅れ、水の交換頻度は少なくてすみます。ただこういったものもレイアウトを間違えると思わぬ事故につながるため(カエルが挟まって☆に・・などなど)極力簡素な方が事故は防げます。この辺は飼育に慣れた頃に考えましょう。
他の「樹上生(樹上棲)」「陸生(地上棲や陸棲)」「半水生(水棲)」に関しては後述の床材を湿らせて水分補給をする方法と皿やカエルが入ることができる容器に水を張る方法があります。
「樹上生(樹上棲)」は泳ぎが下手な種類もいるため深い容器を避け、入っても鼻が水につかない深さにする必要があります。
ヒキガエルなどは水容器がトイレ替わりになります。水の容器に入っている間に尿や糞をします。それらを発見した場合は随時交換ください。
床材
「樹上生(樹上棲)」「陸生(地上棲や陸棲)」「半水生(水棲)」には床材が必要になってきます。
床材の種類はスポンジ、ソイル、パームマット、腐葉土、砂利、水苔、新聞紙、キッチンペーパー、発泡スチロール、レンガ、ブロックなどがあげられます。
どれを使用するかはカエルの種類やメンテナンスのし易さなどを考慮して選択します。
よく見るのは「樹上生(樹上棲)」にはパームマットやスポンジ、「陸生(地上棲や陸棲)」にはソイルかスポンジ、「半水生(水棲)」には砂利、レンガ、ブロックというレイアウトを目にします。
この中でよく使われるスポンジに関しては観賞魚のろ過材スポンジを切って使用することが多いです。この理由としては、保湿力とメンテナンスが楽になることがあげられます。
床材が汚れてきて、それを放置しておくとカエルも病気になります。(よく言われるのが糞尿によるアンモニア中毒)
このため床材の掃除や交換が必要ですがソイルや砂利、パームマットなどはスポンジに比べ手間がかかります。
一方でパームマットやソイル、腐葉土は自然環境に近い雰囲気が出せます。アクアテラリウムなどのビバリウムを楽しみたい方はこちらの床材になると思います。
温調器具
前段で説明したとおり、カエルは変温動物です。種類によりますが温帯性のカエルで20-25℃、熱帯性のカエルで25-30℃が活動しやすい言われ、この温度幅から外れると動きが鈍ります。
夏場はクーラーで30℃が超えないような温度で一定にする必要があります。またそれと同時に湿度も乾きすぎないように気を付ける必要があります。
冬場に関しては、気温が下がると活動が鈍くなり、放っておくと自然に冬眠します。飼育管理下での冬眠は難しいとされており、できることなら活動できる温度を保って冬眠せずに飼育した方が良いと言われています。
温度の管理はヒーターで行うことが一般的ですが、小動物や爬虫類用のヒーターは暖が取れる場所が乾燥しやすいので、保湿のための霧吹きや加湿機が必要です。ヒーターはゲージ全体が暖まるパネル式などのを用意すると良いでしょう。
もしくは部屋全体を温めるエアコンを常時運転する方法もあります。植物用の小型ビニールハウスを利用する方法もあります。
いずれにしても夏場以上に冬場の温湿度管理は大変ですが適切な温湿度が保てられればカエルはいつでも元気な姿を見せてくれます。何とか冬を乗り切りましょう。
湿度管理器具
こちらも既出のとおり、カエルにとって湿度は生きていくうえで重要な要素です。
乾いてしまうと皮膚呼吸が出来ず死に至ります。
種類によっては乾季も乗り切れるほど過酷な環境化でも生きられる種もいますが原則水や湿度が必要です。簡単なのは保湿できる床材(スポンジ、土、水苔など)を常に湿らせておくことです。また朝晩の霧吹きで飼育ケージ内の湿度を保ちましょう。
種類によりますが湿度は70%前後が最適とされています。ゲージごとに温湿度計が設置できれば間違えないですがケージ内の湿度が足りているかどうか判断する場合、カエルがゲージ内のどこにいるかでわかります。カエルは湿度が足りているときは、高い所にいることが多く、逆に湿度が不足していると、水場の側にいることが多くなります。霧吹きや床材を湿らす際の判断材料としてください。
少し高額になりますが最近は霧発生装置も売られています。また部屋全体を加湿器で加湿することもできます。ご家庭に合った方法で温湿度管理を行ってみてください。
温湿度計
カエルの飼育に重要な温度・湿度管理のために買っておいた方が間違いないアイテムです。
色々なタイプの商品が販売されていますが重要なのは取り付け位置です。
ゲージ内に取り付けられるタイプではあれば問題ありません。
部屋に取り付ける際は、極力カエル飼育環境化に近い位置に取り付けください。
エサ
エサの種類は大きく分けて活きエサか人工飼料(冷凍・乾燥エサ含む)の2種類があります。
基本的にカエルは動いているものしかエサとして認識しない動物のため、
人工飼料を上げる場合、ピンセットなどで揺らして食べさせる必要があります。
一度でも人工飼料の味を覚えると2回目以降は容易に食べてくれるため、人工飼料を食べられるように慣らすことは大事ですが個体によって非常に難しいです。
活きエサはストックさえできれば、必要量をゲージ内に放つだけでよいので簡単と言えば簡単です。
しかしながら活きエサをストックするということはそちらにも元気にいてもらうために飼育する必要が出てきます。
活きエサ、人工飼料それぞれ一長一短ありますがどちらも食べてくれると飼育し易さが断然違うため、両方トライしてみてください。
ペットショップで販売している活きエサ
ヨーロッパイエコオロギ 各サイズ
フタホシコオロギ 各サイズ
デュビア・ローチ類(ゴキブリ) 各サイズ
ミルワーム類(ガの幼虫)
ショウジョウバエ
ワラジムシ
メダカ
ペットショップで販売している人工飼料
練りエサ(粉状で補水することでダンゴになるエサ)
ペレットタイプエサ(粒状で捕水で食べやすくなるエサ)
乾燥コオロギ
冷凍マウス
カルシウム栄養補助剤*活きエサにふりかけたり、人工飼料に混ぜます。
給餌のピンセット
餌をカエルの口元に持っていくピンセットです。カエルの口の大きさに合わせたピンセットが望ましいです。小さいカエルの場合は、金属製だと刺さる事故が起きるため、先端にシリコンカバーか樹脂や柔らかい素材のピンセットを勧めます。
暮らし方別の必要な道具・レイアウト
<樹上生>
「ツリーフロッグ」などの樹上生のカエルは、ジャングルのような環境を好みます。
飼育するためには以下のものが必要です:
・高さのある長方形の水槽やゲージ
・植物用のライト
・床材(黒土やヤシガラ土など)
・水場の設置(水容器)
・カエルの移動や休憩のための登り木や観葉植物
~登り木や植物は、カエルにとっての安息の場所となります。ただし、カエルの尿で植物が枯れる場合があります。汚れた葉や枯れた葉、糞尿の処理などゲージ内の定期的な掃除が求められます。
植物の成長のためには適切な照明が必要です。観賞魚用の蛍光灯や爬虫類ライトもオススメの照明方法の一つです。そして、カエルが乾燥しないよう、水場を設けることも大切です。体全体が水に漬かり、鼻先が出る程度の深さがある容器やお皿を用意して、飼育環境を整えましょう。
<陸生>
「陸生のカエル」は、飛び跳ねることが少なく、行動範囲も広くありません。このため高さが必要ありません。
飼育するためには以下のものが必要です:
・高さが低めでカエル多少動き回れる大きさの水槽・ゲージ
・床材としての砂利、水苔、赤土、黒土、腐葉土
・カエルのサイズに合わせた水場
・カエルの隠れ家・シェルター(流木やレンガなどアーチ状でカエルが入れる空間があれば何でも)
~土の湿度は非常に重要です。特に、有機質の土を使用する場合はカビの発生に注意が必要です。
カエルはお腹から水分を吸収するので、土が適切に湿っていれば、水場は基本的には不要です。ただし、乾燥を予防するための水場の設置は推奨されます。隠れ家やシェルターはマストアイテムではありませんがヒキガエルなどは普段から隠れて生活していることが多いためストレス緩和につながります。
<半水生>
「半水生」カエルの飼育には「アクアテラリウム」という、水槽やゲージ内の半分が水場となるレイアウトが適しています。
水槽には砂利を敷き、レンガやブロック、カメ用の浮島を使用して高低差をつけて足場を作り、一方の半分を水場とし、残りを陸地部分とします。
水場から陸地への移動がスムーズにできるよう、優しい勾配の境界線を作りましょう。陸地部分には陸生同様の「隠れ家」があると落ち着きます。
この種は動きが活発で跳躍も水泳も得意です。脱走すると特に大変なので「フタ」や「扉」の開閉は注意が必要です。
<水生>
「水生」のカエルの場合、淡水の観賞魚を飼育するイメージでレイアウトをします。
「流木」は隠れ家のつもりで設置します。水槽に砂利を敷くと砂利にバクテリアが住みつき水質が安定しやすくなります。本来必要ありませんがエアレーションやろ過機も水質安定につながります。
水生・半水生種は冬季の寒さ対策にパネルヒーターだと暖まらない可能性があるため、熱帯魚やカメなどの水中ヒーターを使うと良いです。
この場合、ヒーターが直接カエルに触れないように、カバー設置やレイアウトを変更で対応すれば不慮の事故が防げます。
カエル飼育の注意点
温湿度管理
ここまでの記事で何度もしつこく出てきていますがそれだけカエル飼育において重要です。
種類や大きさによりますが乾燥するとすぐ☆になってしまいます。
目安は温度は25℃、湿度は70%となるよう朝晩の霧吹きや、エアコンなど温調機器を確認ください。
給餌のポイント
カエルは目の前の動く生き物で口に入る場合はどんな生き物でもかぶりつきます。また消化には何日間かかかります。
このため食べすぎになりやすく、最悪の場合、消化不良で☆になります。
活きエサでも人工飼料でも食べすぎにならないよう与えすぎに注意しましょう。
オタマジャクシからカエルになったばかりの子ガエルの時期と大人ガエルでもエサの頻度は変わります。
例 ツノガエル類人工飼料
体長 | 給餌間隔 | 量目安 |
3cm | 3日おき | 1/2~1粒 |
5cm | 1週間おき | 2~5粒 |
10cm | 2週間おき | 6~12粒 |
このように体格が大きくなるにつれ給餌間隔が伸びます。
ゲージ内の掃除
汚れがひどい場合を除き、2~3週間に1度で十分です。
掃除を行うポイントはカエルの糞尿によるアンモニア中毒の危険があるからです。
汚れがひどいと床材や水容器から水分補給を行う際に中毒をなり弱ります。
このため水容器に糞尿がたまっている場合と床材がスポンジと水だけでそこに糞尿をしている場合は速やかに掃除してください。
また腐葉土や枯れ葉、エサの残りカスにカビが生えたら掃除しておくに越したことはありません。
多頭飼育の危険性
給餌のポイントで書いたとおり、カエルは目の前の動く生き物で口に入る場合はどんな生き物でもかぶりつきます。これは対カエルでも同じあり、カエルの共喰いは起きます。このため、多頭飼育をする場合、大きさを揃えておく必要があります。
また大きさを揃えていても、カエルの個体差でエサを取るのが上手いカエルと下手なカエルがいます。極端にこの差があると大きさもそうですが、下手なカエルはいつまでもエサにありつけず衰弱します。
このため、ペットで買う場合は1匹ずつ飼うのが安心です。多頭飼育に関しては飼育に慣れてから考えましょう。
直接触れる時の注意点
ヤドクガエルは名前の通り毒を持っていることで有名ですがアマガエルなどのツリーフロッグやヒキガエルなど表皮や鼓膜後ろの耳線から毒を出すことがあります。
通常、触ったところで人体に影響を及ぼすほどの強い毒ではありません。しかし手に傷があったり、触った手で目をこすったりすることでトラブルになる恐れがあります。
カエルと触れ合うときは手袋をするか直接触れた場合は手洗いをしましょう。
また変温動物であるカエルにとって人の手は熱い部類になります。
触れたい気持ちもわかりますが過度なふれあいはストレスどころか弱らせてしまいます。
愛玩ペットとして長く元気でいてもらうために観賞で楽しみましょう。
カエルの病気
人間と同じくカエルにもいくつかの病気が存在します。
近年問題となっているのが「カエルツボカビ症」と「ラナウイルス感染症」です。
どちらも人に感染することはありませんが海外ではこの新興感染症により絶滅した種もあり、
国際獣疫事務局(OIE Office International des Epizooties )では発生を報告を義務付ける感染症に指定されています。
「カエルツボカビ症」
この病気はツボカビの一種『カエルツボカビ』という真菌、すなわちバクテリアにより引き起こされ、罹患した両生類の致死率は何と100%です。
この病気に罹るとカエル皮膚の表層角質層(ケラチン層)が肥厚していき、食欲不信が始まり、最後には口腔・皮膚の壊可哀想な症状になります。
この病気にかかったカエルは蔓延防止のため焼却処分をするか、ビニールで厳重に密閉し燃えるゴミとし出して下さい。
この菌は水中で棲息している真菌で発育の至適温度は 17~25℃で、23℃が最も適しています。28℃で発育が止まり、32℃では 96時間、37℃では 4 時間で死滅します。
オタマジャクシ時は口の周囲のみケラチンが存在するため、保菌したままが多いようです。変態し、カエルになるとツボカビ部分が増え発現していきます。
かかった個体はすぐに隔離する必要があり、その個体が浸かった水や容器は熱消毒する必要があります。
「ラナウイルス感染症」
原因となるウィルスはイリドウイルス科に属し、宿主域は広く、両生類のみならず、魚類や爬虫類にも感染します。
幼体(オタマジャクシ)~成体までが感受性を有し、特に変態途中や変態直後の幼体の感受性が高く、しばしば幼体の大量死の事例が報告されています。
オタマジャクシと変態時期は成体と比べて 3 倍以上感受性が高いとされています。流行とその影響には季節性があり、暖かい季節(高水温下)では流行が起きやすく、病状の進行も早いです。
感染は両生類全体に見られ、カエル以外にもタイガーサラマンダーやスポッテッドサラマンダーのような有尾類に至ります。
感染は接触による直接感染、共食いや汚染された水などを介した水平感染によって伝播されています。
厄介なことに有効的な治療法はありません。さらにこのウイルスは抵抗性が強く、乾燥した状態だと長期間生存します。温度も4 ℃の水中では比較的長期間安定しています。
また両生類のラナウイルスのワクチンは開発されていません。
逆を言えば、オタマジャクシから育ったカエルはこのウィルスにかかっていない可能性が高いため、安心です。
カエルを飼育しだしたら最後まで面倒を見る。外へ逃がしてはいけない理由
カエルは冬眠する性質から、熱帯産の種類であっても日本国内で越冬できる可能性があります。したがって、飼い切れなくなったからと外に放すと、国内の生態系に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、絶対に避けてください。
在来種と近縁の種であれば交雑が懸念されますし、カエル自体が繁殖力が高い傾向にあるので、ウシガエルのように定着する恐れもあります。
また日本の在来種でも野生の個体群との交雑による「遺伝子汚染」を引き起こすきっかけとなるため、やはり外に放つことはしないでください。
また病気で紹介した「カエルツボカビ症」は日本固有種が耐性を有していたため爆発的な被害は起きませんでしたが海外から輸入されるカエルが他の新たな菌を持ってくる
可能性があります。そういった場合も1頭飼育で育てていれば被害は最小にとどまります。最後まで自己責任で飼育しましょう。
しかしそれでもどうしても手放さないといけなくなった場合は購入したペットショップに相談しましょう。
今回はカエルを飼育したい方や既に飼育している方でもお役に立てたらと思い、全般的なお話をさせていただきました。
全般的なためボリュームがあったかもしれませんがカエルさんたちのために知っておいて損はしない話だと思います。次回からは各種類別の飼育方法に触れていく予定です。
最後まで御覧いただきありがとうございました。